濃厚接触者に対する抗体カクテル療法(皮下注射)の可能性

最終更新日:2021年9月07日新型コロナウイルス関連コラム

このページに書かれていること

抗体カクテル療法は軽症・中等症に使われる

濃厚接触者に対する皮下注射を行うことで発症を抑えたり重症化を防いだりすることができる

すぐにではないが日本でも適応拡大が行われれば、広く使用されて新型コロナウイルスを克服出来るかもしれない

抗体カクテル療法の可能性

現在、日本における新型コロナウイルス感染症の治療法は、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」というガイドラインに沿って行われており、2021年8月30日には第5.3版が発行されています。

コロナウイルス感染症の概略、診断から治療、感染対策まで、様々な内容がこれには書かれており、全国の病院では基本的にはこのガイドラインに沿った形で診療が行われています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、重症度を軽症、中等症Ⅰ、中等症Ⅱ、重症、と分類されているのですが、ここでは「軽症」に分類されるCOVID-19のお話しをします。

「軽症」の定義は、「酸素吸入を行わない状態でSpO2が96%以上を保てている」という状態で、呼吸器症状は無いor咳のみで呼吸困難が無い、という状態です。

いずれの場合であっても肺炎所見を認めません。

軽症者の多くは自然軽快しますが、急速に病状が進行することもあるため、状況によってはリスク因子のある患者は入院の対象となります。

リスク因子とは何か

では、リスク因子とは何でしょうか。
上の表にまとめたものは、COVID19の重症化のリスク因子として挙げられているもので、これらのリスクを有する方は、診断時は軽症に分類されたとしても、診断から日が経ち、悪化した場合は最も症状が強く出ると言われる、発症から7~10日目頃には「中等症」や「重症」に分類される位まで悪くなってしまうこともあるのです。

δ株はこれら重症化のリスク因子を持たない若年者であっても、ワクチン未接種であれば重症化すると言われていますが、リスク因子を持つ人は、重症化する可能性がより高いのです。

重症化を防ぐ薬・ロナプリーブ(抗体カクテル療法)

抗体カクテル療法(医薬品名:ロナプリーブ)は、新型コロナウイルス感染症の軽症・中等症患者向けの治療で、重症化リスクを低減する効果ができるものです。

「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という2種類の抗体を混ぜ合わせた医薬品であり、これら2種類の抗体がウイルスに結合し、増殖を抑制し、重症化を予防します。

新型コロナウイルス感染症陽性者で次に該当する方のうち、同意を得られた方に使用されます。
1. 次の重症化リスク因子を少なくとも一つ有していること
2. 酸素投与を必要としないこと
3. 投与日が発症日から7日以内であること
4. 本剤(ロナプリーブ)の成分に対し重篤な過敏症の既往歴がないこと

ロナプリーブの効果

ロナプリーブの投与から約1カ月以内の新型コロナに関連する入院または新型コロナとの関連は問わず何らかの理由で死亡に至った事例の発生率は、プラセボ(偽薬群)が3.2%、ロナプリーブ群が1.0%で、プラセボ群に比べてロナプリーブ群は、入院や死亡のリスクが70.4%も低下していました。

また症状の持続期間(中央値)は、プラセボ群の14日に対して、ロナプリーブ群は10日に短縮していました。

このように、ロナプリーブを使うことによって重症化を抑え、死亡のリスクも抑えることが分かっています。

ロナプリーブに関する問題点

では、ロナプリーブを使用するにあたって、気を付けるべきことは何でしょうか。
ロナプリーブは軽症・中等症に適応がありますが、その中でも重症化のリスク因子を有する人のみ現時点では適応があります。

また、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されています。

この薬は普通の薬とは異なり、医療機関が直接購入することは今はできません。

当面は世界的にも供給量が限られることが予想され、国内では中外製薬との契約に基づいて全ての薬を政府が買い上げ、認められた医療機関にのみ国から払い下げられます。

費用面に関しても考えねばなりません。一般的に、「抗体製剤」と呼ばれる分類の医薬品は高額です。

関節リウマチや、一部COVID19にも使われる「アクテムラ(トシリズマブ)」は 80mgバイアルで約1万8千円、200mgバイアルで約4万4千円、400mgバイアルで約8万8千円です。 皮下注射は体重による増減はなく1本約3万8千円です。

そんな高額な薬剤は、対象者を限定して使用しないと破産してしまいます。

ロナプリーブの適応拡大の可能性(予防的な皮下注射投与)

ですが、2021年8月4日に発行された「New England Journal of medicine」に、ロナプリーブの新たな使い方に効果が見られるという内容が掲載されました。

家族内でCOVID19患者が発生した場合、その家族と接触後96時間以内にロナプリーブを投与(皮下注射)したところ、症状の見られるCOVID19の発生率は、ロナプリーブ投与群で11/753例(1.5%)、プラセボ群で59/752例(7.8%)と、ロナプリーブ投与群では優位に発症率が低かったとのことです。

発症してしまった場合も、症状解消までの期間がプラセボ群は3.2週間であったのに対し、ロナプリーブ群は1.2週間と、約2週間も短かったとのことで、症状緩和の効果もありました。
つまり、今後、家族内にCOVID19患者が発生した場合、家族が予防的にロナプリーブを注射するという方法がスタンダードになる可能性があります。
もちろん、すぐにそうはならないと思います。まずは実際の治療にもっと用いられるようになり、それでも供給が追い付くようになってからです。
また、無症状の人に注射するのですから、自費診療になるでしょう。
まだまだ先の事ではあると思いますが、ただ、人類が新型コロナウイルスに立ち向かい、克服していくための明るい光が見えてきたようにも思えます。

【索引】
Subcutaneous REGEN-COV Antibody Combination to Prevent Covid-19, Meagan P. O’Brien, et al,NEJM,2021;  DOI: 10.1056/NEJMoa2109682

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2109682

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