
EDとうつの密接な関係性
うつ病とEDの密接な関連性は、1970年代後半ごろから指摘があり、1990年代後半にはED患者はうつの発症率が、EDではない人に比べて2.6倍であるとの報告されました。
うつ病などの気分障害を患っている患者数は厚生労働省の推計によると100万人ほどで、男性のうつ病患者の約半数がEDにも悩んでいるというデータもあります。
潜在的な患者も相当数いるとされているため、実際はもっと多いといわれています。
EDには大まかに分けて、身体的な機能不全からくる器質性EDと、メンタルに起因する心因性ED、器質性EDと心因性EDの混合性ED、そしていくつか特定の薬によって引き起こされる薬剤性EDがありますが、うつ病の場合は、そのいずれの可能性もあることが分かっています。
双方向に関連しあうEDとうつ病、うつ病が原因となるEDは心因性EDと呼ばれます。
抗うつ薬は性的衝動を抑えるので勃起しにくくなる
うつ病により憂鬱な気分になると、何をするにも意欲が失われてしまいます。
意欲がわかなくなり性欲も減退し、更に性的な刺激に対して脳が正常に反応できなくなってしまうためEDにつながることが多く見られます。
しかし、うつ病の場合でも、バイアグラをはじめとする PDE5 阻害薬(ED治療薬)は、血管拡張作用により血流が増加し、効果が出る場合が多いです。
ED治療薬は抗うつ剤との併用も問題なく使えます。
ED治療薬を使うことで勃起を促すことができ、不安やプレッシャーを克服することが可能になります。
強い抑うつ気分を認める場合や特定の向精神薬などを服用している場合には効果が十分にでないかもしれません。
バイアグラなどを用いて物理的に勃起しやすい状態にしたとしても、性的刺激をきちんと処理できない時が、それにあたります。
うつ病の治療薬には、性機能を抑制させるものがあります。
現在、抗うつ薬として最もポピュラーな SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、中枢神経系でセロトニンを増加させることで、性的衝動に関わるドーパミンの作用を抑制することが知られています。
またいくつかの SSRI では、射精を抑制する作用があることも分かっています。これを逆に利用して、早漏の治療に SSRI を応用するケースもあります。
結果として、SSRIに限らず、抗うつ剤は上記のように性欲減退の効果があるとの報告がされています。
そのため、バイアグラなどのED治療薬の効果を減少させます。
うつの人がEDに対して行うべきことは何か?①
まずは精神的な安定を優先しないとEDの根本的な解決にもならないため、うつ病の治療を優先しましょう。
うつ病の精神安定剤として処方される抗不安薬は、不安やプレッシャーを和らげる薬です。
抗不安薬によるEDは、簡単に考えれば内服を中止すれば済む問題ではあるのですが、うつ症状を自覚し、病院を受診し、薬を処方されている方が多いと思います。
必要性があって内服しているお薬は、単純に自己判断で勝手に服用を止めると多くの場合において良い結果を生まない場合が多いので、内服中止をしてはいけません。
抗不安薬などを処方した医師に相談し、抗不安薬の処方や調整を試みることも大事です。その場合も、「抗不安薬を内服開始したことによってEDになった」と、きちんと伝えましょう。
EDの事を相談しにくい場合には「体調が以前より良いので薬を少しずつ減らしていく事はできますか?」といった形で、主治医の先生に聞いてみるのが良いかと思います。
うつの人がEDに対して行うべきことは何か?②
抑うつ症状の度合にもよりますが、バイアグラなどの PDE5 阻害薬の有効性が高いため、効果を見るために一度服用を試みるのもよいでしょう。
多くの場合で効果が期待出来ますが、効果がない場合には、服用している抗うつ剤の種類の見直しや強い抑うつ症状がある場合には、心療内科で主治医の先生に相談をする必要があります。
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