なんだったのか、新型コロナウイルス①
2020年12月26日
中国・武漢市を起源とする新型コロナウイルスは、2020年1月頃に発生し、またたく間に全世界へ広がりました。日本でも数多くの人が感染・発症し、命を落とされた方も居られます。
緊急事態宣言も発令され、我々は新たな生活様式を取ることを強いられた訳ですが、一方で、新型コロナウイルスって一体何なんだろうと疑問に思われている方も多いかと思います。
意外かもしれませんが、コロナウイルスは太古の昔から風邪の原因のウイルスの一つとして存在しています。
風邪の15%前後はもともとコロナウイルス由来とされ、そもそも人類のほぼ全てが感染しており、何度も感染するものです。また、コロナウイルス自体は15種類あり、ヒト、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、シチメンチョウなど、それぞれの動物に特異的に感染症を起こします。
ヒトに対しては4種類のコロナウイルスが従来報告されていましたが、2002年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年に発生したMERS(中東呼吸器症候群)の原因となったコロナウイルスに次いで、7番目のコロナウイルスが今回の「新型コロナウイルス(SARS Cov2)」なのです。
日本ではSARS、MERSともに患者が発生しなかったためあまり意識されてこなかったかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症は初体験ではないのです。
各国で防疫、感染制御が行われましたが、SARSやMERSが流行した時の経験に基づいて対策されたものが多く、SARSの流行地であったマレーシアや、実際にSARS患者が発生した韓国では国を挙げての対策が上手くいったとされています。
医療関係者以外の人が、これから新型コロナウイルスと付き合いながら社会を営んでいくために必要な知識は、①どのように感染、伝播するのか②発症したらどのような症状を来すのか③感染しないようにするにはどうすれば良いのか、だと思います。
既に皆さんお分かりのように3密を避けた生活様式を取る必要がありますが、密閉、密集、密接の全てを避けた人との関わりは簡単ではないでしょう。
テレワーク・時差出勤も定着しつつありますが朝は締め切られた満員電車に乗って出勤しますし、ライブハウスで生の音楽も聴きたいし、居酒屋さんで飲み会もしたい。
感染・伝播を防いで新たな生活様式を目指しつつも、これまでの生活に近い形で皆が欲求を満たすためには、医学的根拠に基づいて、「どうすれば感染しうるのか」を正確に知ることが大切です。
2020年12月現在、日本においては第3波が押し寄せており、特に大阪や東京など都市部では収束の兆しが見えません。
しかも、イギリス等ではその新型コロナウイルスの遺伝子変異株まで発見されており、その感染力はこれまでのものより56%から70%高いとされています。
じゃあ、みんなPCR検査を行って拾い上げたらいいじゃん!とお思いかもしれませんが、そうはいかないのが新型コロナウイルスの厄介な所です。
「無症状かつ濃厚接触者ではない人」がPCR検査を行っても、検査の感度は3割程度とされており、「PCR検査陰性!やった!実家帰ろ!旅行いこ!飲み会しよ!」という姿勢では、いつまで経っても感染の広がりは収まらないのです。
今みなさんがするべきことは、PCR検査を追いかけるのではなく、正しい感染対策を行うことです。
当院でもPCR検査は行いますが、検査を受けにくるだけでなく、みなさんが今すべきことは何か?を知ってもらいたいと思っていますので、WEBページやSNS、対面診療、オンライン診療などを用いて広めていきたいと思います。