アレルギー性鼻炎には花粉(スギやヒノキ、イネ科など)がアレルゲンとなる“季節性アレルギー性鼻炎”とハウスダスト(ダニの死骸や糞、ホコリ、カビ、ペットの毛)などがアレルゲンとなる“通年性アレルギー性鼻炎”があります。
花粉症といえばスギやヒノキが有名で、花粉症のうち約70%を占めますが、それ以外にもイネ、ヨモギなど、一年中花粉は飛散しています。
そのため、二月から五月の春先のスギ・ヒノキの花粉飛散時期以外でも目のかゆみ、鼻水、くしゃみなどの症状がみられる方は、それ以外の花粉症かもしれません。
花粉症の症状が強くなると、咳の症状や、喉や皮膚のかゆさ、頭痛、倦怠感、微熱、不眠、身体や顔のほてり、イライラ感などが見られるようになり、その症状が気になって生活の質が下がってしまうものです。
関西でも2月から3月にかけてピークがくるスギや、3月に多く飛散する
ハンノキ属(主にオオバヤシャブシ)、そしてヒノキ科の花粉量が多い4月など
春先は花粉の飛散が増えますが、秋のヨモギ属やブタクサ属にも注意が必要です。
ALLERGEN IMMUNOTHERAPY
舌下免疫療法とは?
当院では抗ヒスタミン薬のほか、舌下免疫療法も開始しました。
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含む錠剤を舌の下に投与し、体内に吸収させる方法です。この投与を継続的に行うことで症状を軽減させていきます。
治療効果として、10~20%の人は症状が消失し、80%程度の人には症状の改善効果が期待できます。最初の数週間で徐々に増やすことにより、体をスギ花粉に慣れさせる治療法で、最低でも2、3年かけて体質の改善を図る必要性があります。
治療は最低2年間程度、毎日1回継続する必要があります。投与する量に関しては、最初の1週間と2週目以降で異なります。
スギ花粉症の治療の場合、花粉が飛びはじめてから開始するとアレルゲンとの接触量が増えてしまうことから、花粉飛散中は治療開始はできません。
5月上旬ごろからの治療開始となります。
舌下免疫療法
お薬代
1週間目が3割負担で約300円、2週間目以降は、1か月分の薬代が約1500円です。
再診で1ヶ月あたり自己負担額は2,000~3,500円程度(3割負担の場合)となります。
初診ではアレルギー検査等を行うため、4,000~5,000円です。
スギ花粉症とダニアレルギーには舌下免疫療法が有効です。
スギ花粉症では、スギ花粉からアレルゲンを抽出し、舌下錠として使用します。
同様に、ダニアレルギーにも舌下免疫療法が適用されます。
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舌下錠の投与方法と安全性
舌下錠は特殊な薬剤であり、初回投与は医師の監視下で行われます。
舌の下に錠剤を置き、溶かした後、1分間保持し、その後に飲み込みます。初回投与後の30分間は医療機関に滞在し、副作用がないか確認されます。
通常は2回目以降は自宅で舌下錠を服用します。舌下免疫療法はアナフィラキシーショックなどの副作用が起こる可能性があるため、初回の安全性確認が重要です。
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舌下免疫療法の効果と適応範囲
舌下免疫療法により、スギ花粉症やダニアレルギーの症状の緩和や予防が期待されます。
免疫療法によって、他の新たなアレルゲンへの感作を防ぐ可能性もあります。
スギ花粉症の重症度にかかわらず、幅広い範囲の患者に適用されます。
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投与期間と免疫獲得の
持続性
舌下免疫療法の推奨投与期間は3~5年です。
最低でも3年間の治療が必要であり、できれば5年間継続することが目標とされています。
毎日の服用は大変ですが、途中で中断しても効果が薄れることはありません。
舌下免疫療法によって獲得した免疫は、長期間持続すると考えられています。
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免疫療法のバイオマーカーと
効果判定
現在のところ、舌下免疫療法の効果を評価するための明確なバイオマーカーは存在しません。
そのため、効果の判断は患者の症状の改善具合に基づいて行われます。
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舌下免疫療法のポイント
舌下投与の重要性
舌下錠を舌の下に1分間保持することは重要です。
この方法によって、錠剤から取り込んだ成分が直接静脈系に入り、効果が得られます。
消化管に直接入ってしまうと成分が分解され、効果が薄れてしまう可能性があります。
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児童における
舌下免疫療法の適用
舌下免疫療法は、児童においては5歳以上で適用されます。
年齢にかかわらず、同じ錠剤が使用され、用量の調整は必要ありません。