空間除菌って、室内のウイルスを除去するのに有効なんですか?
次亜塩素酸水の噴霧は本当にコロナ対策になるの?
2021年2月1日
クレベリン、次亜塩素酸水の噴霧など、空間除菌で安全を、という話を良く目にしますが、果たして空間除菌というものは、ウイルス除去に繋がるのでしょうか?
クレベリンは、大幸薬品が発売している二酸化塩素を主成分とするウイルス除去・除菌を謳う雑貨のブランドです。
あまり特定の商品を直接話題にするのものではないかもしれませんが、空間除菌を謳う商品の走りではないでしょうか?
容器内のゲル剤から発生する二酸化塩素により空間中に存在するウイルス、菌、ニオイを除去する効果があるとのことですが、2014年には消費者庁から「ウイルス除去等の表示について、裏づけとなる合理的な根拠がない」として措置命令を受けています。
二酸化塩素分子が部屋の空間に広がり、色々な物質を除去すると言っていますが、その広告表現には根拠が乏しく、2014年以降は「ご利用環境によって、成分の広がり方は異なります」というただし書きがつけられています。
実際、二酸化塩素はin vitro(試験管内)では、ウイルスや菌を除去するとされています。
二酸化塩素ガスを含んだ大幸薬品開発の液剤(二酸化塩素ガス溶存液)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、多剤耐性緑膿菌、多剤耐性結核菌などの各種細菌を10~60秒間で99.9%以上不活化する1)と、されており、大幸薬品のHPにもその文献が引用されていますが、ごくごく小さい空間(6 畳相当(25 m3 )の閉鎖空間に 0.02 ppmv の低濃度二酸化塩素ガスを空気中に漂わせる)で高濃度の二酸化塩素を使用した場合のデータであり、そのような二酸化塩素ガスがもし本当に眼や呼吸器系の粘膜を刺激したら、咳嗽や喘息などの原因となる危険性があります。
汚れが付着した環境に対するガス燻蒸法の消毒効果は弱く、推奨されません。
2)http://www.kankyokansen.org/journal/full/03205/032050243.pdf
水カビ類に対する二酸化塩素の in vitro での抗菌効果3)に関する論文も発表されていますが、水カビ類の菌糸は,500μg/ml の二酸化塩素に1-4時間浸漬することで死滅するとされるなど、ちょっと拭う程度では死滅しないそうです。
このように、二酸化塩素がウイルス等を死滅させる事実があっても、コロナウイルス感染を予防できるとは言えないでしょう。
首からぶら下げるカードタイプの携帯型空間除菌剤等も、子どもたちがじゃれ合った時にそのカードが相手の体に接触して、化学やけどが生じたこともあるので、効果がないどころか有害にもなりえます。
https://www.caa.go.jp/safety/pdf/130218kouhyou_1.pdf
WHO,日本の厚生労働省、米国CDCも「室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の(空間)噴霧や燻蒸をすることは推奨されない」としており、また、「路上や市場と言った屋外においてもCOVID19やその他の病原体を殺菌するために空間噴霧や燻蒸することは推奨せず」「屋外であっても、人の健康に有害となり得る」としています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
また、国会の答弁においても「二酸化塩素を含む消毒剤等は・・・(略)人に吸入されるおそれがある状況で空間に噴霧することは推奨していない」と答えられており、厚労省のホームページでもそのことは周知しているが、必要に応じて追加で効果的な周知を検討されているそうです。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/204/syup/s204004.pdf
ここまで、「薬剤を噴霧することで空間からウイルスを無くすことはできない」と言いました。
しかし!!!一つだけ、密閉された室内から有害物質を無くす方法があるのです!!!
それは、「定期的な換気」です。
何も物を買う必要はない。ただただ、換気をしっかりするだけで空間除菌になるのです。
引用:Chlorine dioxide is a superior disinfecfant against multh-drug resistant Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa and Acinetobacter baumannii” Jpn J Infect Dis Advance Publication (2015) 及び 「濃度長期保持型二酸化塩素ガス溶存液の結核菌に対する抗菌作用」 第86回日本結核病学会総会、東京(2011)
引用:低濃度二酸化塩素による空中浮遊インフルエンザウイルスの制御 ―ウイルス失活効果の湿度依存性― 西村 秀一ら,環境感染誌 Vol. 32 no. 5, 2017
リンク先はこちらから
引用:Aquaculture Sci. 58(2),219-224(2010)
引用:令和3年1月19日 国会答弁
リンク先はこちらから