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口腔アレルギー症候群(OAS)と花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)の基本と対策

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2026,05,01

コラム

口腔アレルギー症候群(OAS)と花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)の基本と対策

果物や生野菜を食べたときに、口の中がピリピリしたり、かゆくなったりした経験はありませんか?

それは「口腔アレルギー症候群(OAS)」かもしれません。近年、花粉症の低年齢化・増加に伴い、花粉症に関連して起こる「花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)」も急増しており、注目を集めています。

今回はこれらのアレルギーのメカニズムや、注意すべき食べ物、対策について詳しく解説します。

1. OASとPFASの違いとは?

口腔アレルギー症候群(OAS)は、特定の食物を摂取した直後(多くは15分以内)に、口唇や口腔内、咽頭の粘膜にかゆみや刺激感(ピリピリ、イガイガ)、腫れなどが出る「状態(症状)」を指す言葉です。

一方、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)は、花粉の抗原(アレルゲン)に感作された人が、花粉と似た構造を持つ果物や野菜を食べたときにアレルギー反応を起こす「病態」を指します。

OASの代表的な原因がPFASですが、OASには他にも、天然ゴム製品へのアレルギーを持つ人が果物で反応する「ラテックス・フルーツ症候群」や、甲殻類(エビ・カニ)、魚類、ダニなどが原因となって口に症状が出るケースも含まれます。そのため、必ずしも「OAS=PFAS」ではありません。

2. なぜ花粉症の人が果物でアレルギーを起こすのか?(交差反応の仕組み)

PFASは、花粉のタンパク質(アレルゲン)と、食物のタンパク質の構造が似ているために、免疫システムが勘違いを起こす「交差反応」が原因で発生します。

原因となる代表的なアレルゲン(タンパク質)には、以下の3つがあります。

  • PR-10(病原性関連タンパク質): カバノキ科の花粉などに含まれます。熱や消化酵素に弱いという特徴を持っています。そのため、飲み込むと胃酸などで分解されやすく、症状が口や喉の局所にとどまることが多いのです。加熱調理をすれば食べられることが多いのも特徴です。
  • プロフィリン: あらゆる植物に普遍的に存在するタンパク質です。こちらも熱や消化液に弱く、加熱すれば症状が出にくいとされています。
  • LTP(脂質輸送タンパク質): 熱や消化酵素に非常に強いタンパク質です。そのため加熱してもアレルゲン性が失われにくく、全身性の重篤な症状(アナフィラキシーなど)を引き起こしやすいという厄介な特徴があります。

3. 花粉の種類と注意したい食べ物の組み合わせ

自分がどの花粉に反応しているかによって、交差反応を起こしやすい食物が異なります。

カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシなど)の花粉症:
バラ科の果物(リンゴ、モモ、サクランボ、洋梨、イチゴなど)や、大豆などで症状が出やすくなります。特に大豆のPR-10である「Gly m 4」というアレルゲンには注意が必要です。豆乳は加熱が不十分であり、一気に大量摂取することが多いため、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす危険性があります。

イネ科(カモガヤなど)の花粉症:
小麦、メロン、スイカ、トマト、ジャガイモ、タマネギ、オレンジ、セロリ、キウイなど、非常に幅広い果物や野菜で反応することが報告されています。

キク科(ヨモギ、ブタクサなど)の花粉症:
ヨモギ花粉症の人は、セリ科のスパイスや野菜(セロリ、ニンジン、パセリなど)やマスタードに反応しやすいとされています。ブタクサ花粉症の人は、プロフィリンの交差反応により、ウリ科の果物(メロン、スイカ)やバナナなどに反応することが多く見られます。

4. 症状と重症化のリスク(FDEIAなど)

多くの場合、原因となる食物を食べて15分以内に口や喉の腫れ、かゆみなどが現れ、口の中だけにとどまります。

しかし、症状が進行すると、全身の蕁麻疹や皮膚の赤み、呼吸困難(喘鳴や喉の腫れ)、腹痛や嘔吐といった消化器症状を伴うこともあり、最重症の場合は命に関わるアナフィラキシーショックに至ることもあります。

また、特定の食物を摂取しただけでは無症状でも、食後に運動を行ったり、解熱鎮痛薬(NSAIDs)を服用したり、疲労やストレスなどの要因(コファクター)が重なることで、全身に重篤な症状が誘発される「食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)」を引き起こすケースも報告されています。

5. 診断と予防・対策

診断には、詳しい問診(花粉症の有無や、何を食べてどんな症状が出たか)に加え、血液検査や皮膚検査が行われます。血液検査では、原因となる「アレルゲンコンポーネント(PR-10やプロフィリンなど)」を特定する検査が有用です。

皮膚検査では、疑わしい新鮮な果物などを直接針に刺してから皮膚に刺す「プリックテスト(prick-to-prick test)」が非常に信頼性が高いとされています。

対策の基本は、原因となる食物を食べないこと(原因抗原の回避)です。

ただし、PR-10やプロフィリンなどのアレルゲンは熱に弱いため、ジャムやコンポートなどのように十分な加熱調理をすれば食べられるケースも多くあります。

一方で、豆乳のように加熱が不十分な加工品や、LTPのように熱や消化酵素に強いアレルゲンが原因の場合には、加熱しても重篤な症状を引き起こす危険性があるため厳重な注意が必要です。

また、過去に重篤な症状を起こしたことがある患者には、緊急時のための「アドレナリン自己注射薬(エピペン)」の携帯が推奨されます。

口の中に違和感を感じた場合は「ただの気のせい」と自己判断せず、アレルギー専門医を受診して適切な診断と食事指導を受けるようにしましょう。

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