ウイルスベクターワクチンとは?
ウイルスベクターワクチンは日本語で言うと「組換えウイルスワクチン」と言えます。
「遺伝子組み換え」というと、それだけで怖い!と思ってしまう人も居るかもしれません。
ベクターワクチンは、新型コロナウイルスとは全く異なる無関係なウイルスの遺伝子の中に、新型コロナウイルスの病原体タンパクを作るための遺伝子を組み込みます。
その遺伝子組み換えが行われたウイルスを含んだワクチンを注射で接種することで、ヒトの体内に取り込まれて体内で細胞の中に入り、転写・翻訳が行われ、ヒトの細胞がやはり病原体タンパクを合成するのです。
つまり、病原体タンパクをヒトの体内に入り込ませるのがmRNAなのか、ベクターウイルスなのかの違いだけで、ヒトの体内に入ってから起こることは同じです。
ベクターウイルスは、ヒトの体内に入ってから、そのウイルスそのものが病原性もっていては困ります。なので、ヒトには全く病気を起こさないウイルスだけが選択されるのです。
新型コロナウイルスのAstraZenecaのワクチンでは、増殖機能を失わせた「チンパンジー・アデノウイルス」を使っています。
これまで、ベクターウイルスを用いたワクチンはエボラ出血熱に対して実用化されており、世界初の技術ではありません。
アストラゼネカ社のワクチンの実施状況は
世界71か国で使用されています。
Lancet誌に、AZD1222の単回接種を受けた95%の被験者は、接種1か月後にSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体が4倍に増加したと掲載されています。
すべての被験者において、T細胞反応が誘発され、14日目までにピークに達し、接種の2か月後まで維持されました。
副反応については?
2000万回のアストラゼネカワクチンの接種で、7例のDICと18例の脳静脈洞血栓症が副反応として確認されました。非常に稀なことですが、血小板減少を伴う血栓症発症が見られることが報告されています。
欧州医薬品庁(EMA)は、アストラゼネカワクチン接種と血栓症発症の間には何らかの因果関係がある可能性を認めました。
しかし、同時にEMAはアストラゼネカワクチン接種のこの血栓の副作用は一般の発生割合よりも高いが、有益性が潜在的なリスクを上回ると結論づけられました。
カナダやEU内の8か国も60歳以上に使用を限定していましたが、現在は解除されています。
世界で71か国が使用しており、欧州医薬品庁(EMA)が2021年3月18日、「安全で有効」と結論づけたことを受け、欧州連合(EU)主要国は同ワクチンの接種を再開しました。
しかし、各国での副作用事例は続いたため、イタリアは60歳以上のみ接種勧告しており、ただしすでにアストラゼネカワクチンを一回接種を受けた60歳未満の人の場合、2次接種を受けることができようにしました
スペインは、60〜65歳の年齢層のみが接種することにし、イギリスは30歳未満の若い年齢層にはアストラゼネカワクチンを接種してはいけないと勧告しました。
ベルギーは55歳未満の年齢層に対してワクチン接種を禁止した。
国内生産されることが決定
韓国では、アストラゼネカ社のワクチンの接種が開始されています。
また、日本では兵庫県芦屋市に本社を置く製薬会社JCRファーマが9000万回(4500万人)分を国内で製造することが決まっており、日本でもいずれ接種することになる人が出てくるでしょう。
ただ、血栓の副作用次第かもしれません。
ファイザー社のワクチンが十分に輸入されれば、あえて血栓の問題に目をつむってアストラゼネカ社のワクチンを日本で使用する必要はないかもしれません。
イギリス変異株への効果は野生株とほぼ同等
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33798499/
イギリス変異株(B.1.1.7)に対して中和抗体価の上昇は低いが有効性(vaccine efficacy)は野性株とほぼ同程度あったという報告があります。
有効性はB.1.1.7変異株で70.4%、B.1.1.7変異株以外で81.5%
Lancetという有名な雑誌に掲載されています。
Lancetのページへ
南アフリカ変異株への効果は低い?
Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant というタイトルの論文が NEJM誌に掲載されています。
論文はこちら
軽度から中等度の Covid-19 が,プラセボ接種者 717 例中 23 例(3.2%)とワクチン接種者 750 例中 19 例(2.5%)に発現,有効率は 21.9%であった。
Covid-19を発症した42名のうち、39例がB.1.351変異を有するもの(南アフリカ株)で、B.1.351変異を持つウイルスに対するワクチンの有効性は10.4%
南アフリカ株に対する有効性、低いですね。。。。
バイタリティクリニック神戸三宮では、4月よりコロナワクチンの接種を行います。
できるだけ多くの市民の皆様が早くワクチンを接種出来るように致します。
3月中旬より電話、LINEなどで予約受け付けを開始します。
日程が決まり次第お伝え致します