コロナ対策の新たな選択肢
新型コロナウイルス感染症は、発熱や咳だけでなく後遺症も懸念される病気です。
手洗いや換気、ワクチンが予防の基本ですが、人が集まる場所では不安を感じることもあります。
今回、花粉症治療で使われる「アゼラスチン点鼻薬」が、感染予防の「追加の盾」になる可能性が示されました。
この研究は、ザールラント大学の研究グループによって行われ、詳細は2025年9月2日付の『JAMA Internal Medicine』に掲載されています。
研究の概要
この研究は、健康な18歳から65歳のボランティア450人を対象に行われました。
参加者を「アゼラスチン点鼻薬を使うグループ」と「薬効成分を含まない偽薬(プラセボ)を使うグループ」に無作為に分け、1日3回、56日間にわたって使用してもらいました。
その間、週2回の検査を行い、新型コロナウイルスへの感染の有無や症状の違いを比較しました。
研究の結果
調査の結果、期間中のコロナ感染率はアゼラスチン群で約2.2%だったのに対し、偽薬群では約6.7%となり、点鼻薬を使ったグループの方が感染者が少ないことが分かりました。
また、一般的な風邪の原因となるウイルス(ライノウイルス)の感染も減少傾向にありました。
副作用については、苦味を感じるといった報告はありましたが、両グループで大きな差はなく、安全性も確認されました。
研究からわかること
この研究結果は、アゼラスチン点鼻薬がウイルスの上気道への侵入や増殖を抑え、人混みや旅行などの高リスクな場面での「追加の予防策」として役立つ可能性を示唆しています。
さらに、この研究の意義は実用性が高い点にあります。アゼラスチン点鼻薬は、
-
長年の使用実績があり、安全性が確立されている
-
多くの国で市販薬として、医師の処方箋なしに安価に入手できる
-
使い方が簡単である
といった利点があります。
これにより、感染リスクが高まる場面や時期に、誰でも手軽に使える予防策となり得ます 。
生活への取り入れ方
-
基本対策は継続 :点鼻薬はあくまで「上乗せ」の対策です。ワクチン、手洗い、換気といった基本の予防策はおろそかにしないようにしましょう。
-
リスクが高い場面で活用 :満員電車やイベント、旅行など、多くの人と接する機会がある時期の補強策として検討してみる価値があります。
-
正しい使い方を守る :1日3回など用法用量を守りましょう。苦味が気になるときは、下向きで噴霧し、軽く吸い込むのがコツです。
-
持病や妊娠中は相談を :他の抗ヒスタミン薬を使用している方や妊娠中の方、持病がある方は、使用前に必ず主治医や薬剤師に相談してください。
-
症状が出たら受診 :予防に使っていても感染を完全に防げるわけではありません。発熱や喉の痛みがあれば、早めに検査と受診をしましょう。
まとめ
花粉症用の点鼻薬であるアゼラスチンが、コロナ感染対策の補助として期待できるという前向きな結果が得られました。
誰もが確実に防げることを保証するものではないため、今後の大規模な検証が必要ですが、市販でも入手しやすく安全性の高い薬であることから、現実的な追加予防の選択肢になり得ます。
自身の体質や状況に合わせ、医師と相談しながら活用を検討してください。
また、普段から予防策はしていても、風邪症状、熱の症状などが見られる場合は、発熱外来を受診してください。
引用

