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長引く咳で呼吸器内科を受診したら何をする?呼気NO検査・呼吸機能検査の流れと費用

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2026,11,05

コラム

長引く咳で呼吸器内科を受診したら何をする?呼気NO検査・呼吸機能検査の流れと費用

「風邪は治ったはずなのに、咳だけが何週間も続いている」「呼吸器内科に行ったら、どんな検査をされるのだろう」「痛い検査や高い費用がかかるのでは」――外来では、こうした不安を抱えて受診される方に毎日のようにお会いします。特に秋から冬にかけては、寒暖差やかぜ・インフルエンザなどの感染症をきっかけに、咳が長引いて相談に来られる方が増える時期です。

この記事では、神戸・元町の呼吸器内科として、長引く咳で受診したときに当院で行う検査の内容、とくに呼気NO検査(吐いた息で気道の炎症を調べる検査)と呼吸機能検査(肺活量や息を吐き出す力を調べる検査)について、流れ・わかること・費用の目安をできるだけわかりやすくご説明します。三宮や元町への通勤・通学の途中に受診を考えている方も、ぜひ参考にしてください。

神戸ではいま、咳の出る感染症が増える季節です

神戸市感染症統合情報システムによると、2026年第42週の神戸市の急性呼吸器感染症(ARI:咳・のどの痛み・鼻水などをおこす感染症の総称)は定点(報告を担当する医療機関)あたり58.83人、インフルエンザは定点あたり9.11人でした。インフルエンザは前週の14.03人からは減っていますが、兵庫県は第41週に定点あたり10.15人と注意報レベルを超えたと発表しており、引き続き流行期にあります。また兵庫県の第42週の週報では、マイコプラズマ肺炎の報告が基幹定点あたり0.86人ありました。

こうした感染症にかかったあと、熱やのどの痛みは治まったのに咳だけが残る、というのはよくある経過です。多くは自然に落ち着いていきますが、なかには咳喘息や気管支喘息など、治療が必要な病気が隠れていることがあります。それを見分けるために役立つのが、これからご紹介する検査です。

「長引く咳」とは何週間から?まず知っておきたい咳の分け方

日本呼吸器学会の「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」では、咳が続いている期間によって次のように分けて考えます。

咳の期間 呼び方 主な原因の考え方
3週間未満 急性咳嗽(きゅうせいがいそう) かぜなどの感染症が多い
3週間以上8週間未満 遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう) 感染症のあとの咳と、感染症以外の病気が混ざる
8週間以上 慢性咳嗽(まんせいがいそう) 感染症以外の病気(咳喘息など)が中心

つまり、咳が3週間を超えて続くときは、感染症以外の原因も考え始めるタイミングです。8週間以上続く慢性咳嗽の原因としては、咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群(鼻と気管支の両方に炎症がおこる状態)、胃食道逆流症(胃酸が食道に逆流する病気)、一部の血圧の薬の副作用などが知られています。

咳の原因は一つとは限らず、問診だけでは区別がつきにくいことも少なくありません。そこで、息を使った検査で「気道(空気の通り道)に炎症があるか」「空気の通りが悪くなっていないか」を客観的に確かめることが、診断の大きな手がかりになります。

当院で長引く咳を診るときの流れ

当院では、咳でお困りの方に対しておおむね次のような流れで診療を進めます。症状や経過によって順番や内容は変わります。

  1. WEB問診・問診:咳が始まった時期、きっかけ(かぜ・インフルエンザなど)、出やすい時間帯(夜間・明け方など)、痰の有無、喫煙歴、アレルギーの有無、服用中のお薬などをうかがいます。
  2. 診察:胸の音を聴診器で確認し、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー・ヒューヒューという音)がないかなどを確かめます。
  3. 呼気NO検査・呼吸機能検査:必要と判断した場合に行います。
  4. 必要に応じた追加の検査:痰の検査や、血液検査で「好酸球(こうさんきゅう)」というアレルギーに関係する白血球が増えていないかを調べることがあります。
  5. 治療と再診:吸入薬などで治療を始めた場合、およそ2週間後に再診していただき、効果を確認します。

呼気NO検査(FeNO)とは?息を吐くだけで気道の炎症がわかる

どんな検査?

呼気NO検査は、吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測る検査で、英語の略称から「FeNO(フィーノ)」とも呼ばれます。喘息などで起こりやすい「好酸球性の気道炎症」(アレルギー体質と関係する炎症)があると、気道で一酸化窒素が多く作られ、吐く息の中のNO濃度が高くなります。

検査のやり方

マウスピースをくわえて、機械の画面の案内に合わせて、一定の強さでゆっくり息を吐き続けます。成人では10秒ほど吐き続ける方法が国際的な標準的な方法として示されています。針を刺したりすることはなく、痛みはありません。

結果は飲食や喫煙、運動の影響を受けることがあるため、国際的な推奨では検査の前1時間程度は飲食を控えることが勧められています。

数値の見方

米国胸部学会(ATS)の指針では、成人の場合、おおむね25ppb未満は好酸球性の気道炎症の可能性が低い、50ppbを超えると可能性が高い、その間は中間の値として症状とあわせて判断する、という目安が示されています。日本人を対象とした研究では、喘息と健康な方を見分ける目安として22ppb前後の値が報告されています

ただし、呼気NO検査の数値だけで喘息と決めつけることはありません。吸入ステロイド薬を使っている方では値が下がりますし、喫煙で低く出ることもあります。逆に、アレルギー性鼻炎があるだけでもやや高く出ることがあります。症状の経過や診察所見、呼吸機能検査の結果とあわせて総合的に判断します。

呼気NO検査でわかること・役立つ場面

  • 咳の原因として、咳喘息や気管支喘息のようなアレルギー性の気道炎症が関わっていそうかどうかの手がかり
  • 吸入ステロイド薬が効きやすいタイプの炎症かどうかの目安
  • 治療を始めたあと、炎症が落ち着いてきているかの経過確認

呼吸機能検査(スパイロメトリー)とは?肺の「容量」と「吐き出す力」を測る

どんな検査?

呼吸機能検査は、肺に出入りする空気の量や速さを測る検査です。代表的なのがスパイロメトリーで、主に次のような項目を調べます。

  • 肺活量:思い切り吸ってから吐ききったときの空気の量
  • 努力性肺活量(FVC):思い切り吸ってから、一気に勢いよく吐ききったときの空気の量
  • 1秒量(FEV1):勢いよく吐き始めてから最初の1秒間に吐き出せた空気の量
  • 1秒率(FEV1/FVC):吐き出した量のうち、最初の1秒で吐けた割合

検査のやり方

鼻をクリップでつまみ、マウスピースをくわえて、検査担当者の声かけに合わせて「大きく吸って、一気に吐ききる」動作を行います。正確な値を得るために、何回か繰り返して測定します。力いっぱい息を吐くため、少し疲れたり、咳き込んだりすることがありますが、痛みを伴う検査ではありません。

なお、咳がとても強い時期には、咳き込んでしまって検査がうまくできないことがあります。そのような場合は、まず治療で咳を落ち着かせてから、再診時に検査を行うことがあります。また、最近心臓の病気や気胸(肺に穴があいて空気が漏れる病気)、目やお腹などの手術をされた方は、検査を延期することがありますので、必ずお申し出ください。

呼吸機能検査でわかること

1秒率が低い場合は「閉塞性換気障害」といって、空気の通り道が狭くなって息を吐き出しにくい状態が考えられます。代表的な病気が気管支喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患:主にたばこの煙が原因で肺に慢性の炎症がおこる病気)です。COPDの診断では、気管支を広げる吸入薬を使ったあとでも1秒率が70%未満であることが基準になります。

喘息では、気管支を広げる薬を吸ったあとに1秒量が改善するかどうか(気道可逆性)を確かめることがあります。国際的な喘息の指針(GINA)では、成人で1秒量が12%以上かつ200mL以上改善すると、可逆性ありの目安とされています。

一方、咳喘息では、呼吸機能検査の結果はほとんどの場合正常です。「呼吸機能検査が正常だから異常なし」ではなく、呼気NO検査や症状の経過、治療への反応とあわせて判断することが大切です。

2つの検査を組み合わせると、何が見えてくるのか

呼気NO検査は「気道に炎症があるか」、呼吸機能検査は「空気の通りが悪くなっていないか」を見る検査で、見ているものが異なります。組み合わせることで、咳の原因を考える手がかりが増えます。代表的なパターンを、あくまで目安としてまとめます。

階段や坂道での息切れ感染後の咳・アトピー咳嗽など多くは高くない多くは正常経過や他の症状とあわせて判断

考えられる状態 呼気NO検査 呼吸機能検査 補足
咳喘息 高めのことが多い ほぼ正常 ゼーゼーしない咳が中心。気管支を広げる薬が効く
気管支喘息 高めのことが多い 閉塞性の変化がみられることがある ゼーゼー・息苦しさの発作をくり返す
COPD 多くは高くない 吸入後も1秒率70%未満 喫煙歴がある方に多い。

実際の診療では、この表どおりにならないことも多くあります。喘息とCOPDの両方の特徴をもつ方もいますし、検査の数値がはっきりしない場合は、治療を試しながら判断することもあります。検査はあくまで「診断の材料」の一つです。

咳喘息を早めに見つけることが大切な理由

咳喘息は、ゼーゼーという喘鳴や息苦しさを伴わず、咳だけが長く続く病気です。夜間や明け方、会話中、冷たい空気を吸ったときなどに咳が出やすいのが特徴です。気管支を広げる薬が効くこと、吸入ステロイド薬による治療で改善が期待できることが知られています。

一方で、咳喘息を治療せずに放っておくと、一部の方は典型的な気管支喘息に移行することが知られています。長引く咳を「ただのかぜの名残」と自己判断せず、検査で原因を確かめることには、こうした先々の悪化を防ぐ意味もあります。

日本呼吸器学会の一般向け解説では、大人の喘息は9〜10%程度とされており、決して珍しい病気ではありません。また、COPDは40歳以上の約12人に1人、推定530万人以上が患者と考えられている一方で、実際に医療機関を受診しているのは約38.2万人にとどまると紹介されています。喫煙歴のある方の長引く咳や痰、息切れは、COPDに気づくきっかけにもなります。

セルフチェック:こんな咳は検査を考えるサインです

次のような項目に当てはまる場合は、呼吸器内科で一度相談してみることをおすすめします。

  • 咳が3週間以上続いている
  • 夜中や明け方に咳で目が覚める
  • 話をしたり笑ったりすると咳き込む
  • 冷たい空気、たばこの煙、においなどで咳が出る
  • 市販の咳止めを飲んでもあまり変わらない
  • 花粉症やアレルギー性鼻炎、アトピー体質がある
  • 毎年、季節の変わり目に咳が長引く
  • 喫煙歴があり、階段や坂道で息切れを感じる
  • 以前に小児喘息と言われたことがある

このチェックは受診を考える目安であり、診断をするものではありません。当てはまる項目が少なくても、気になる症状があればご相談ください。

受診の目安と、すぐに受診すべき危険なサイン

早めに受診を考えたいとき

  • 咳が3週間以上続いている、または一度よくなってもぶり返す
  • 咳で眠れない、仕事や家事に支障が出ている
  • 痰の量が多い、色のついた痰が続く
  • 市販薬を1週間ほど試しても改善しない

すぐに医療機関を受診、または救急相談をしてほしいサイン

  • 息苦しくて横になれない、会話が続けられない
  • 唇や爪の色が紫色っぽい
  • 血の混じった痰が出る
  • 強い胸の痛みがある
  • 高い熱が続き、ぐったりしている
  • はっきりした理由のない体重減少を伴う

このような症状があるときは、検査の予約を待たず、早めに医療機関を受診してください。夜間や休日で迷う場合は、救急安心センターこうべ(#7119)などの相談窓口も利用できます【要確認:神戸市の救急相談窓口の名称・番号】。

当院でできること

神戸元町呼吸器内科・アレルギークリニックは、JR元町駅東口から徒歩1分、阪神元町駅東改札口から徒歩2分の場所にあり、三宮・元町エリアへの通勤・通学の途中や帰りにも立ち寄りやすい立地です。平日の夜や土曜日も診療を行っています。曜日ごとの詳しい時間は診療時間はこちらからご確認ください。

  • 呼気NO検査(FeNO):吐いた息で気道の炎症を調べます
  • 呼吸機能検査(スパイロメトリー):肺活量や息を吐き出す力を調べます
  • 必要に応じた痰の検査・血液検査:好酸球などを確認します
  • 吸入薬による治療と吸入指導:吸入薬は正しく使えて初めて効果が期待できるため、使い方をしっかりご説明します
  • 画像検査が必要な場合の紹介:胸部X線やCTが必要と判断した場合は、連携する医療機関をご紹介します
  • 関連する診療:花粉症・アレルギー、COPD、禁煙外来、睡眠時無呼吸症候群なども診療しています

■ 参考文献

  1. 神戸市感染症統合情報システム(2026年第42週):https://kobecity-kmss.jp/
  2. 兵庫県 記者発表「インフルエンザの発生状況」(2026年10月15日):https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/press/20261015.html
  3. 兵庫県感染症対策センター 感染症情報(2026年第42週週報):https://web.pref.hyogo.lg.jp/iphs01/kansensho_jyoho/infectdis.html
  4. 日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版作成委員会編「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」メディカルレビュー社, 2019.
  5. 日本呼吸器学会「呼吸器の病気 B-01 COPD(慢性閉塞性肺疾患)」:https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/b/b-01.html
  6. 日本呼吸器学会「呼吸器の病気 C-01 気管支ぜんそく」:https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html
  7. Dweik RA, et al. An official ATS clinical practice guideline: interpretation of exhaled nitric oxide levels (FeNO) for clinical applications. Am J Respir Crit Care Med. 2011;184:602-615.:https://doi.org/10.1164/rccm.9120-11ST
  8. American Thoracic Society; European Respiratory Society. ATS/ERS recommendations for standardized procedures for the online and offline measurement of exhaled lower respiratory nitric oxide and nasal nitric oxide, 2005. Am J Respir Crit Care Med. 2005;171:912-930.:https://doi.org/10.1164/rccm.200406-710ST
  9. Global Initiative for Asthma (GINA). Global Strategy for Asthma Management and Prevention.:https://ginasthma.org/reports/
  10. 倉敷市資料「呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)」(日本人の目安値の参考):https://www.city.kurashiki.okayama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/504/feno.pdf【要確認:一次文献への差し替え推奨】
  11. 当院「咳・気管支喘息の治療・症状について」(費用・検査・紹介体制):https://kobe-ed-corona.jp/asthma.html

 

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